告知
 


告知について

 

告知はがん診療の第一歩です

 当院では、患者様本人に告知を行うことを基本としています。

 自分ががんになった時、どのような治療を受けていきたいか、これからの生

活に何を希望するか、このような選択は患者様本人が自分の病気について知ら

ないと難しくなってしまう場合があります。

大切なことは、「告知するか、しないか」ということではなく、「どのように

告知が行われるか、その後どのようなサポートが行われていくか」です。医師

との信頼関係のもと、患者様自身が自分の体の症状と合わせながら理解できる

ように告知が行われることが重要です。

 

告知による心の動き

 告知を受けた患者様には、どのような心の動きがみられるのでしょうか。

 多くの方が、「そんな馬鹿な」「嘘でしょう」と心に強い衝撃を受けるようで

す。次いで、「何かの間違いではないか」と否認したい気持ちや、「なんで私が

そんなことにならなきゃいけないだ」「理不尽だ」という怒りがわいてきます。

そして「もう終わりだ」「助からないのか」という悲しみや絶望感、「いままで

やってきたことはなんだっただ…」という自分の存在意義の喪失感でいっぱ

いになるかもしれません。しかし、治療に取り組んだり、日常生活を送って

るうちに、「しょうがないのかな」というあきらめと「今、何ができるのか」と

いう自己の再生につながる気持ちが生まれ、だんだんと落ち着きを取り戻して

いきます。

これらの気持ちの変化やそれぞれの時間の長さは人により異なりますが同じ

ような流れをたどります。重要なことは告知の行われ方とその後のご家族、主

治医や緩和医療チームによるサポートです。

 

ご家族の方へ

 ご家族の中には、患者様本人ががんであることを知ることで、「ショックを受

けて落ち込むのでは」と心配される方もいます。

 告知をしないことで、病名を知る瞬間のショックは避けられるかもしれませ

ん。しかし、少しずつ病状がすすみ、食欲がなくなる、体がだるいなど、様々

な症状が出てくる中で「自分は悪い病気じゃないのか?・・・でも家族はそうは言

わないし、本当はどうなんだろう・・・」と疑心暗鬼になり、かえってストレスを

高めてしまうこともあるでしょう。

 がんを抱えることは、ご家族にとってもつらいものであり、告知は大変な作

業です。しかし、患者様とご家族が手をつなぎ何でも話し合えるなかでこそは

じめて様々な症状を解決していける方法がえられます。

当院で緩和医療を受けられていた乳がんの患者様には、全身の骨転移に対し

て痛み止めを飲んだり放射線治療を受けながら3回の外国旅行を楽しまれ、亡

くなられる前日まで食事をとりながらお話をされていた方もいます。

このように、残された時間をどのように過ごしていくか、やりたいこと、大

切にしたいことを患者様が自分で選んでいくためには、病気や状態をご本人が

理解し、ご家族と力を合わせていくことが必要となります。告知はそのための

大切な機会となるでしょう。

私たち緩和医療チームも、つらさを和らげ、希望を支えるようなサポートを

行います。一緒に考えていきましょう。

家族