リハビリテーションの分類このページを印刷する - リハビリテーションの分類

運動器リハビリテーション

(運動器リハビリテーションⅠ 認定施設)

運動器リハビリテーションの対象疾患
四肢の骨折 大腿骨近位部骨折、橈骨遠位端骨折、上腕骨近位端骨折、 足関節骨折など上下肢の骨折
脊椎疾患 腰椎圧迫骨折や脊髄損傷
外傷疾患 転倒や交通事故などによる骨折および挫傷
関節疾患 人工関節、関節形成術、関節鏡などの処置が主となる
リウマチ、変形性関節症などの疾患
その他 腱板断裂、肩関節周囲炎、運動器不安定症など
 
当院におけるリハビリテーションの取り組み
リハビリテーションの基本方針
 当院では上記のような疾患に対して医師の指導のもと,それぞれ の患者様にあった治療プログラムを立案して、マンツーマンでの対 応を行っています。また自宅での生活を考慮し、自立を目指したリ ハビリテーションを行っています。
 
リハビリテーション内容
 筋力維持増強訓練、関節可動域訓練、歩行訓練、日常生活動作訓 練などを行っています。

脳血管疾患等リハビリテーション

(脳血管疾患等リハビリテーションⅠ 認定施設)

脳血管疾患等リハビリテーションの対象疾患
脳出血 血管が破れて出血する
くも膜下出血 血管にこぶが出来て破裂し脳全体に出血する
脳梗塞 血管が詰まりそこから先に栄養がいかないため脳の組織が壊れる
神経難病 パーキンソン病、筋委縮性側索硬化症など
 
当院におけるリハビリテーションの取り組み
 当院では主に急性期リハビリテーションの役割を担っており、主治医の指示のもと発症後早期より、失われた機能の回復・廃用(はいよう)症候群の予防を目的にリハビリテーションを行っております。 廃用症候群とは、安静状態が長期に続くことによって起こる心身の様々な低下を指します。具体的には筋力が落ちたり、関節が 硬くなったり、起き上がろうとする意欲がなくなったりします。これらは高齢者でとくに起こりやすいのですが、脳卒中の方の場合麻痺した手足だけでなく、健常側の手足にも衰えがおよびます。そのため可能な限り早期からリハビリテーションを行うことが必要です。当院では集中治療室に入室している方も主治医の指示に応じてリハビリテーションを開始します。一般病棟の場合、ベッドサイドにて寝返り・起き上がり等の練習を開始し、リハビリテーション室での訓練へと移行していきます。患者さまの症状に合わせてリハビリテーションプログラムを立案・実施し、より良く、より早く患者さまの機能が回復するように努めています。しかし、失われた機能の回復には長期のリハ ビリテーションを必要とすることもあります。回復期リハビリテーションを必要とされる方には主治医・看護師・医療ソーシャルワーカー・リハビリスタッフでカンファレンスを行い、地域の回復期リハビリテーション病院をご紹介しています

呼吸器リハビリテーション

(呼吸器リハビリテーションⅠ 認定施設)

呼吸器リハビリテーションの対象疾患
急性発症した呼吸器疾患 肺炎、無気肺など
呼吸器・消化器疾患とその手術後 胸部外傷、肺腫瘍、食道癌、胃癌、肝臓 癌、喉頭癌、膵臓癌、大腸癌などの手術後
慢性呼吸器疾患 慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支喘 息など一定以上の重傷の呼吸困難や日 常生活能力低下を来たしている場合
 
当院におけるリハビリテーションの取り組み
 当院では特に呼吸器・消化器疾患の手術後の方に対して、術後 早期からのリハビリテーションに力を入れており、
  ①喫煙歴がある
  ②高齢である
  ③呼吸器疾患がある・呼吸機能に問題がある
  ④痰が多い
  ⑤身体および運動機能に問題がある
  ⑥今までに手術歴がある
  ⑦開胸・開腹手術の大手術である
  ⑧その他リスクが大きい場合
 上記①~⑧のような場合は、手術後の経過が順調にいくために お手伝いをさせて頂いています。
  
 術中の麻酔薬や鎮痛剤の影響、創部の痛み等によって、術後十 分に痰を出すことができず、気道に痰などの分泌物が貯留し、肺 に空気が入らない場所ができることを無気肺(むきはい)といい ます。手術後の過度の安静は無気肺の発生のリスクとなります。 術後早期からのリハビリテーションは肺炎や無気肺などの術 後の合併症を予防し、早期回復・早期退院につながります。

手術後の呼吸器リハビリテーションとしては
 ①呼吸介助・体位変換を用いて、痰や分泌物による術後肺炎・ 無気肺を防ぎます
 ②深呼吸などの呼吸訓練を行います
 ③過度の安静による体力、筋力の低下を予防するため、早期か ら状態に合わせて座位・立位・歩行訓練と進めていきます

呼吸器疾患の急性増悪期の呼吸器リハビリテーションとしては
 肺炎や慢性呼吸器疾患の増悪などにより入院となった場合も ①~③と同様のリハビリテーションを行います。
 当院では、集中治療室において麻酔科医、主治医、看護師、理学療法士によるカンファレンスを毎朝行い、重症患者さまの状態に合わせたリハビリテーションを早期より開始しています。

 *当院には呼吸療法認定士が常勤しております。

心大血管リハビリテーション

(心大血管リハビリテーションⅠ 認定施設)

心臓大血管リハビリテーションの対象疾患
虚血性心疾患 心筋梗塞、狭心症
心不全 心臓弁膜症、心筋症など
心臓血管外科術後 冠動脈バイパス術後、心臓弁置換術後、大 血管手術後、末梢血管手術後など
 
 心臓リハビリテーションとは心臓病にかかった患者さまの身体的・精神的な機能を回復し、健全な社会復帰を助けるために行われます。心臓病と診断されると、今までの自信や活力がなくなったり、心臓の負担を警戒するあまり活動を制限し、発症間もない不安定な時期を過ぎても過度な安静をとる方も少なくありません。これにより患者さまはもちろん、ご家族や社会にとっても大きな損失となります。
 このような問題に対して、
  ①病気の克服に積極的に取り組むことにより、出来るだけ早期に健全な社会復帰を成し遂げようとする
  ②心臓病(心筋梗塞や狭心症など)の再発や進行の予防をする
 これが心臓リハビリテーションの大きな目的です。

当院におけるリハビリテーションの取り組み
 ①運動療法
  個人に合った運動負荷により体力・持久力の増加を目的とします
 ②食事療法
  高血圧・高脂血症・糖尿病等の冠動脈危険因子となりうる病 気に対して食事指導を行います。また体重の管理も行います
 ③薬物療法
  現在服用されている薬の作用、正しい使用方法についてお話します
  ④日常生活の注意点の指導
  禁煙指導、在宅での注意点等をお話します
 
入院急性期
 心筋梗塞発症後、看護師による病棟での座位や立位等のリハビ リテーション後に心臓リハビリ室にて開始となります。有酸素運 動(自転車こぎや歩行訓練)と退院後の再発予防等の教育を中心 に行います。心臓血管外科術後では、術後の呼吸器・運動器合併 症が併発しないように、術後早期より病棟(集中治療室)にて呼 吸訓練(深呼吸・喀痰・呼吸体操等)、離床訓練(端座位訓練・ 立位訓練等)を行います。その後心臓リハビリ室にて有酸素運動 を中心にリハビリテーションを行います。

外来回復期
 上記の疾患で入院急性期リハビリテーションが終了された方 が対象となります。目的は病気や手術により低下した体力の回復、 再発予防、社会復帰です。内容は、運動療法として有酸素運動(自 転車こぎや歩行)、筋力強化トレーニング(マシーン使用)を行 います。 また、再発予防の教育(禁煙・食事・運動等)も行っていきま す。リハビリテーションの必要性や病気についての知識向上を目 指し、多職種が連携して週一度の頻度で心臓リハビリテーション教室を開催しています。

 *当院では心肺運動負荷試験を行い、各患者さまの心臓機能、運動機能に合わせた運動療法の処方を行っています。 尚、当院には心臓リハビリテーション指導士が常勤しております。

がん患者リハビリテーション

(がん患者リハビリテーション 認定施設)

がん患者リハビリテーションの対象患者さま
周術期 食道がん、胃がん、肝臓がん、胆嚢がん、大腸がん又は膵臓がんと診断された患者であって、これらのがんの治療のために入院している間に閉鎖循環式全身麻酔による手術が行われる予定のもの又は行われたもの 乳がんと診断された患者であって、乳がんの治療のために入院している間にリンパ節郭清を伴う乳腺悪性腫瘍手術が行われる予定 のもの又は行われたもの
緩和ケア 緩和ケアを目的とした治療を行っている進行がん又は末期がんの患者であって、症状の増悪により入院している間に在宅復帰を目的としたリハビリテーションが必要なもの
 
がんリハビリテーションの目的
 がんのリハビリテーションは、予防的、回復的、維持的、緩和的リハビリテーションの4 つの段階に分けられます。
  ①予防的:がん診断後の早期(手術などの治療の前から)に開始。機能障害が生じていない段階からその予防を目的とする。
  ②回復的:機能障害、能力低下の存在する患者さまに対して、最大限の機能回復を図る。
  ③維持的:腫瘍が増大し、機能障害が増大しつつある患者のセルフケア、運動能力を維持・改善することを試みる。自助具の使用、動作のコツ、拘縮、筋力低下など廃用予防の訓練も含む。
  ④緩和的:末期のがん患者さまに対して、その要望(demands)を尊重しながら、身体 的、精神的、社会的にもQOLの高い生活が送れるように援助する。
 
当院におけるリハビリテーションの取り組み
 当院では主に外科病棟にて①予防的、②回復期なリハビリテーションを提供し、主に緩和ケア病棟にて③維持的、④緩和的リハビリテーションの提供を行っています。開胸開腹術後は肺活量が術前と比べて著しく低下します。これは一般的に数日~1週間程度続きます。また、術後は創部の痛みなどにより咳を出しにくくなり、気道内に分泌物が貯留しやすくなります。これらが原因で生じる呼吸機能障害の予防目的に術前呼吸リハビリテーション指導を実施しています。 また、術後の呼吸機能回復や筋力の回復目的に早期離床訓練や、筋力増強訓練、 自転車エルゴメーターやトレッドミル等を利用した有酸素運動を実施しています。リンパ節郭清を伴う乳がん術後は肩関節の可動域制限や疼痛が高頻度で起こる為、 予防目的、回復目的に適切なタイミングでの関節可動域訓練や筋力増強訓練、パンフレットを用いた生活指導等を実施しています。入院加療中、疼痛、感染症、栄養障害、睡眠障害、倦怠感、身体活動量の低下、全身体力の低下、ストレスなどの心理的要因もあり、がん患者さまのQOLは低下しやすい状況にあります。これらの軽減目的にリラクセーションや局所的な関節可動域訓練、 筋力増強訓練、基本動作、移乗動作といった動作訓練を施行しています。

*当院にはがんリハビリテーション研修を修了したセラピストが常勤しております。